2012/09/15
「小説 魔法少女まどか☆マギカ」(2012)一肇
「魔法少女まどか☆マギカ」のノベライズ版である「小説 魔法少女まどか☆マギカ」を読了。
原作となるテレビアニメ版と同じ12章という構成立てをでありながらその原作とは違い基本的に主人公鹿目まどかの視点をメインに描く事で、既に物語を知っている人でも楽しめる、否むしろ知っている人だからこそ楽しめる作品に仕上がっていました。
原作だと、いくつかのシーンは主人公まどかが知り得ない話の展開、進行があるところをどうクリアするか。そういったところも「ああ、こうきたか」という感じで楽しめたし、まどか視点であるが故に本来のこの作品のテイストには合わない児童小説のような書体でこのような物語を味わえるというある意味原作さながらのミスマッチも味わえます。
原作は30分ものTVアニメ12話というフォーマットをフルに生かした作品であったものを、違う塊となる「小説」という形態でどのように表現するかというところでこのやり方は予想していなかったな。
もうココらへんはアイデアの勝利だな。
そして原作とは違った明確なテーマとして、原作最終話タイトルである「わたしの、最高の友達」をうまく昇華させていたのも面白かった。
そうか、これでまどかとほむらの結びつきがより一層強くなるのか、とかいろいろ。
正直、前後編となる劇場版も、今回冒頭に書いているように違うフォーマットに置き換えることによる幾つかの効果的な事象の変化をどう処理するのかが気になっているのですが、なんだこんな手があったんじゃん。
結果として多少物語の展開も変わっているのですが、逆に原作よりうまくつながっている部分もあるし、原作では途中空気と言われ続けたまどかが、本作では見事に最初から最後まで主役として成り立っていたりもして変えた甲斐もあったというもの。
果たして劇場版はここまでのうまい手を用意できるのでしょうか。
劇場版はこちらを原作にしてもありだと思う。
基本、台詞は全く同じだし強いて言えば微妙にシチュエーションが違うくらいで原作同様ドキドキさせたり展開が判っているからこそ涙腺を刺激するものも多々ある。
ああ、何か自分が求めているものが全てあるじゃないですか。良かった。
これは劇場版観た後にもう一回読まねばなるまいな。