2012/11/19

「愚者のエンドロール」(2002)米澤穂信

「愚者のエンドロール」(2002)を読了。

これもまあアニメの方は良くアニメ化したなあという感じだな。

高校生そのもののふてぶてしいモノローグをベースに映像化するのに若干ナローにして、さらに尺に収めるための時間軸の改変や説得力弱いところの補強などしてうまくまとめてあった。

でもまあそれでもこれは小説でこそ生きるエピソードであったな。

明らかな映像パートがあるにも関わらずそれを見せないことで成り立っている曖昧さな部分を映像化せざるを得ないところがハンディキャップになってしまうこともあるんだな。

逆に映像で語っていることを説明せざるを得ないノベライズというパターンもかわいそうと言えばかわいそうなのだが。


さてその本編だが着眼点はいろいろくすぐられるものがあるものの、千反田えるに対する奉太郎の感情が明らかに恐怖感の方が優先されていてそこが好みが別れるところだろうな。
アニメの千反田えるに馴れてしまったというのもあるかもしれない。

たしかに奉太郎にとってはある意味姉以上に怖い存在なのだろうが、けど怖いわ。
ある意味える以上に口喧しい摩耶花のほうが昔から知っているということと弱い部分も知ってるというところで安心できるが。
まあそういった部分を隠さず生々しく描いていることがこの作品の魅力なのだろうな。