「サイボーグ009完結編 2012 009 conclusion GOD`S WAR」のIIとIIIを読了。
一言で言ってしまえばとても石ノ森作品らしい感じがI以上にあったかな。
そして、ようやく終わったんだね。
と、以降は内容に触れずに書かずにはいられないので改行。
まずはIIについて。
ジェロニモから張々湖、ブリテン、ピュンマやジョーのそれぞれの物語は、作中でも語られていたように各々が主人公の物語で1に引き続き皆が皆各々らしくて愛すべきキャラクターたちに思いを馳せることができました。
どれもどこかで記憶を揺さぶられるのだよなあ。
一番は海底ピラミッド編に似たもしくは2001年宇宙の旅を意識したピュンマ回だけれど、巨大石像や占い師といったイメージが記憶に残るジョーや黒豚と旅をする張々湖場末の幽霊劇場を舞台にするブリテン、精霊と話すジェロニモなどが愛する人の喪失と紙との対話(いや一方的な問いかけか)を体験する。
そして集まった9人と神々との最後の戦いとなるIIIへ。
何度敗れそうになっても立ち上がり進んでいく9人。各々の能力をあざ笑うかのように肉体を切り裂かれてもサイボーグ戦士として立ち上がる彼ら。
下顎を食いちぎられたジョーや下半身を失ったジェットたちも酷かったが両目と片腕を失ったフランソワーズはさらに痛ましい。
その彼女に更なる非人間的な容姿、ハインリッヒと同性能の右腕ともはや人間の体をなしていない両眼を与えるギルモアは相変わらずだ。
それでも敗れ立ち上がり進化しを繰り返す。そしてそれをものともしない神々と呼ばれる者達。
最後に残ったジョーとフランソワーズの会話がやはりこれしかないかなという感じで今でも思い出すだけで目に涙があふれてくる。
この終わりはさながらキカイダー。いや彼らよりはよほど幸せな終わり方か。
シチュエーションはさながらデビルマンだけれど、終わらせ方は明らかに石ノ森なんだよなあ。
あとこれ、石ノ森章太郎は続きが出来なかったんじゃなくて自分の子供達のような彼らに対してこんな描写をする事が耐えられなかったんじゃないかな。
総じて幸せではない終わり方をさせることが珍しくない石ノ森章太郎だけれど、彼らは特別な気がする。
本人じゃなかったからこそできた完結編かと。
書きたいこといっぱいあってまとまらないや。
何はともあれお疲れ様でした。
これで安心して彼らと穏やかな時間を過ごしてほしいです。