『007 スペクター』(2015)"Spectre"を鑑賞。
(2015/12/05 at TOHOシネマズ新宿 Screen 9)
『カジノロワイヤル』から仕切り直してここまで続いてきたシリーズも、満を持してようやくこのタイトルに辿り着いた。
ああ、そうか。
ここにたどり着くための今までだったんだな。
この新シリーズから張られ続けたものたちが007/James Bood誕生の次の到達点として見事な形になっていました。
目指していたのは、原作とそれまでの映画の要素をコラージュして「今」の形に再構成したものだったのか。
当時以上にシュールな存在と化していたスペクター。
当時のまま作るともうオースティンパワーズにしかなり得ないし、何よりもこれは「今」なスペクター。
ブロフェルドを名乗るときの服装、そしてペルシャ猫。
再登場の際の義眼や傷痕がほぼ映画そのままなのがなんともいえない。
そしてコラージュされたものたち。
アバンの死者の祭りはさながら『死ぬのは奴らだ』で、列車のコンパートメントやら鏡の裏側の隠し部屋は『ロシアより愛をこめて』、山頂のサナトリウムや雪山の麓の小屋に突っ込んだり、セスナ機のカーチェイス、股裂きより怖い高速椅子、果てにはムーンバイクや隕石までと目白押し。
オクトパシーや珍魚ヒルデブランドとかまでホントによく詰め込んだな。
挙げ句の果ては、いや、ポンドそれはダメだ。マドレーヌがテレサポンドのポジションに収まってしまうぞと言わんばかりの終わり方。
次回作に2つの未来を感じさせて終わった。
ひとつは、まだ生き残っているであろうブロフェルドの用心棒により、まるでテレサの時のようにボンドの横に座るマドレーヌを奪われ、原作の二度死ぬさながらに復讐鬼と化すボンドという図式。
もう一つはマドレーヌがミスターホワイトの後を継いでいたというパターン。
あるところから茶番を見せられていたというパターンだな。
どちらの未来なのだろうか。
話を戻そう。
MI6のあれって元々今回を見越してのものだったのかなあ。
あと、アバンのコントのような建物爆発の真相は?
そのアバンのヘリアクションの背景はCGだよなあ?
たぶん4Kが一番映えたのは北アメリカの夕日なシーンかな。
そしてブロフェルド登場以上に苦しんでいるように見えたのはボンドがいかにしてベッドインするかまでのシークエンス、とか。まあとりあえず原作と映画全部見直してからきやがれ的な作品でもありました。
いやあ楽しかった。