『ジョーズ』"Jaws"(1975)
(2018/01/01 at NHK-BS)
やはり劇伴最高だな。
この年のジョン・ウィリアムズは『大地震』があって『アイガー・サンクション』の後にこの『ジョーズ』で前年が『タワーリング・インフェルノ』で次の年に『ファミリー・プロット』で、好みとしては『ファミリー・プロット』や『アイガーサンクション』となるのだけれど、それを加味してもやはりこの劇伴は良い。
この作品で個人的に好きなのはやはり三人のキャラクターの付け方かな。基本ラインは変わらないのだけれど場所場所でお互いの立場が色々変わってくるんだよね。それもちゃんと理由があって。
フラグと呼ばれるテンプレートに収まらないドキュメンタリータッチの人間臭さも良い。
クイントが昔の事を完全に思い出しているんだろうなと言う時の行動が好きだ。クイントはたぶん恐怖にかられてるかもしれないのに、それを示すのはスロットルを弛めない手のみ。パニックには陥っていないがパニックに陥ってもいるあの状況。
何か不安げだったブロディが腰に銃をつけた途端に自信を取り始める部分。変わったのはほんの少しなのだけれど、こういう所が後々の結果に影響してくる。
対してフーパーはたぶん監督の分身なのだろうな。一番客観的にものが見れている。シニックで取り乱さず、と言いつつも彼の一度の失敗が結局のところ後々の事態を招くという三人三様。
まあ事態を悪化させた一番の原因は島全体の死活問題とサメ問題の天秤の掛け方で失敗した市長だけれど、自分の判断を間違えたばかりに島そのものの存続に関わることもあり得たからこそ。
それぞれが皆大なり小なりそこで油断しているんだよな。
奴を見誤ったところ。
まあ何よりもあんなタイミングで誘って結果的にあそこをエサ場にしてしまった彼女とそれを促した彼に尽きてしまうのだが、彼らからしてみればそんなこと分かるかよなのだけれど。
有名な「見せないことで見せ場を作る」という点において、それは冒頭から徹底していたんだな。まあ冒頭は意図的か。
薄暗い中、シルエットのみで走っていく彼女と追う彼。
表情もその細かい仕草も分からず。
あと、家で見る時特有の話で言えばやはり、時計を見てしまうな。
フーパー登場のタイミングとか、海上に舞台を移すタイミングとか。
しっかり根回しした後での海上パートなのでその後は一切地上に戻らない。その分集中してイベントが発生してくれる。