「やがて君になる」を一巻から改めて読み直し。
2人の最初の出会いからこの物語のすべてが詰まっていたんだな。シチュエーションはわりと良くあるパターンだけれどその台詞の言い回しがすべての始まりに繋がるという素晴らしさ。
もちろんその前に下地として主人公侑のモノローグやそれまでが振られている。
佐伯先輩との最初の会話にも何気なく彼女が詰まっているんだよな。
朱里にしてもこよみにしても同様。
それがすべて読み進みていくうちに分かるというこの心地よさよ。
燈子が侑のどういう所に落とされたのか。最後まで読むと良く分かる。まったくブレてないじゃん。ただその感情を飲み込んで消化するまでが彼女にとってのこの物語なんだな。
いや、あんな侑見たら落ちるって。燈子が自覚しないからその可能性に関して今まで思い至らなかったのかな。
燈子が侑に落ちてから最初のリアクションに対して侑と沙弥香の表情は描かれているけれど、この時槙くんどんな顔していたんだろうなと思うとニヤニヤできる。この時彼なら絶対気づいたよな。
佐伯先輩のあの台詞、二回出てくるけれどその意味や立場の違いが沙弥香目線でも侑目線でもなかなか思い深いものがある。最初は佐伯先輩なんだけれど次は沙弥香なんだよなあ。
あの踏切のシーン、絶対電車乗ってる人やら目撃者多数だよなあとニヤニヤして終わる二話と跨いで選挙活動初日の侑の目線の先にニヤニヤできるお得感よ。あ、後者は槙くんも見てるんだよなあ。便利な槙くん。
そして燈子の口元周辺から目が離せなくなってからの気づく彼女の微妙な表情。燈子が侑の特別になったのはあの瞬間だろうな。それは好きとは別の感情だったけれど。
そしてすべての因果律を支配するあの喫茶店が満を持して登場。あの空間はやはりこの物語の中で常に特異点だよなあ。
燈子の弱さに気づいてしまったから断れなかったんだよなあというカット割り。
こういったズルさって何気なく一番の姉譲りなのにそこに自覚はないという。
侑の家族初登場での家族の団欒でそれぞれの台詞のやりとりの一つ一つがなんとも言えない。お父さんのひっくり返るのインパクトが強いけれど一人一人突っ込みどころ満載だ。
菜月と朱里のやり取り。まさかあんな結末になるとは。
侑が自分にしか見せないと言っていた燈子の表情、沙弥香や槙くんにもモロバレなんだよなあという所に気づかなくなっていた時点でね。
で、沙弥香がしくじったと思ったであろう所で一巻終了。
こりゃ二巻以降は後日だな。