帯の惹句を読んで抱いた主人公のイメージはもう少し上の年齢で復讐というものに繋げやすかったし、背表紙やサイトの粗筋から想像した絵里ちゃんとの関係性は二人の母親と同様に双子性の強いものだった。
それは思い込みからくるものだったが、想像していた視点やシチュエーション、もしくは展開や真実がその先もどんどんハズレ、それがすべて腑に落ちるという読書の楽しみを存分に味わうことができました。
紗夜(本編ではほとんど名前が出てこないので読み直してみた)の取った方法が実はこの状況の鍵であったのは一番やられたな。
年齢故と後は絵里ちゃんに対する関係性から想像される部分がある故に周囲との関係に不安を持っていたりする一面を持ちながら自分の感情を押し隠している様が何とも言えない。目的に飲み込まれないようにあがきながらそれでもという加减がそこに繋がっていて。
それらがもたらした結果をやり直し可能だと思えるのもこの年齢だからなんだよなあとか、結果から逆算して作られたキャラクタには見えないのにそういったところがすぽすぽとハマっていくさまが良い。
発端が共に自己保身で誰かに何かを押しつけむしろ被害者だとさえ思ってではあったが、彼らに限らず皆が皆弱さを持っていてそれが間違った方向に進んでしまう連鎖となっていく。
そしてタイムリープものであるやり直したい過去という考えを否定しなければ得られない今を肯定することで得られる未来を受け入れるというのは弱さなのかそれともというのは、たぶんこの後何度も自問自答することになるのだろうな。それでも選んだものが幸せに繋がる道であれと思いながら読み終えました。
あ、そうそうこれだけは書いておこう。
手紙での締めはとても良かったと思う。