(2023/11/08 amazon prime)
原作は久しく読んでいない。
以前映画化されたものも久しく観ていない。
どちらもとても好きな作品ではあるが、さらに記憶となると美化されていると思う。
そういう視点で見るとなるとやはり色々と偏った見方にもなるかもしれないがそれを踏まえての感想など。
冒頭のエピソード。
懐かしいポアロらしい台詞や言動の数々。
そして彼に対する人々の態度。
シリーズものの中の一篇での描写というよりは、彼を初めて知る人達に対する紹介のようにも見えた。
考えてみれば前回の74年の映画化の際にはまだクリスティは現役のミステリー作家であり、またミステリー、推理小説というジャンルも読書という趣味も今よりはメジャーな扱い方をされていたようにも思う。対してこの今に近い2017年はポアロやクリスティの認知度から始めなくちゃいけないんだなという風に見えた。
まあ実際にはここから観続けていると分かるのだが、主役は事件ではなくポアロだった。言い方を変えれば推理小説というよりは冒険小説の趣き。
どうやらケネスブラナーは数々のリブートされたシリーズものの流れに、このポアロシリーズも組み込みたかったのかなという描き方。
故に登場人物達の印象や描かれ方が薄いのが物足りなさを感じるというか。
個人的にはこれをやるならスタイルズから始めて欲しかったなあ。以前の映画化の際には途中まではそれぞれが独立したものだったし、ならば有名どころやドラマに仕立てやすい本作というのも分かるのだけれど。
まあスタイルズこそさらに認知度の低い作品なのでお金も集められないだろうけれどとなってしまうし、そこからカーテンまで全部映画化なんてそもそもとなってしまうのは作品の量が多いクリスティ作品ならでは悩みか。
まあこうやってクリスティの作品と再会するのはとても嬉しいのだけれどというのは贅沢かな。