映画化するためにどのように換骨奪胎していったのかがとてもわかり易い。
まさか主人公まで交代していたとは。
映画の方はあの時代のSF映画としては面白いが、こういう題材であれば原作のアプローチの方が面白いよね。
ある意味良い所引っこ抜かれている。
そういう意味では再映画化話の際に単独でこのまま作られなかったのは悔やまれる。
ここからはこの原作の話。
この作品の面白さの一つは主人公とその置かれた環境の設定。
プロジェクトに関わる前後どちらでもある意味客観的な視点に立ちつつ恋愛感情的な部分は覆い隠さない所。
ランズデルは良い奴と思いつつもいざイヴのそばにいる時はそういう制御が効かないことも自覚してという人間臭さ。
その彼が見聞きする世界の終焉と未来の為に動く人間の姿。
前者は尊厳と欲望にまみれた人達が描かれ、後者はある意味自分の興味あるものに対して貪欲で有能な者達。
どちらも理不尽で合理的に動くのでこのボリウムに対してテンポが良いのよ。
そして見たいものを見せてくれる。
そしてその才能のみが到達できたこの結果。
神の采配の使い方。
まあ何よりもこの原題が現す、この題材にビリヤードみたいなシチュエーションでノアの箱舟してしまうアイデアの面白さだよな。
単なる地球の終焉だけではない所が凄い。
ある意味ではあるけれど『ディープインパクト』+『アルマゲドン』=本作という視点で見えるのもまた面白いな。(また映画に戻ってる。)