(2024/04/21 TOHOシネマズ池袋 スクリーン8)
元々は大林宣彦の映画化でその存在を知ったものの別の作品経由で山田太一の原作と接する事となり、むしろそのシンプルで乾いた部分を好きになっていた「異人たちとの夏」が映画化されたと聞いた時から楽しみにしていたこの作品。(まわりくどい)
厳密に言えばそのあらすじを聞いてさらに期待値は上がった。いったいどういうものになるのかホント楽しみになった。
と、いう訳で、初日とはいかなかったが初週に観に行きました。
原作とは国も性別もという所は気になっていたものの、さらには時代も違っていたのはすっかり失念していた。
そうか、今を起点にすればあの時代に関わる事になるのね。
そして、今とその時代という事を考えれば、この改変はむしろ自然だよな。
改変と書いたが、たしかエンドクレジットではBased on Story?だったような気もした。
一方で、原作のここはそのまま嵌め込んできたというシーンも多かった。
ビルを見上げるとというのはおおと思った程度だったが、まさか川の字を見れるとはね。
改変の話で言えばキャッチボールをそう落とすかとか今半が地元のモールのグリルとかまあ色々。
お盆はハロウィン?とも思ったがそこらへんは微妙な時期かな。いずれにせよその時点で夏は無くなったのか。
ある意味一番大きな改変は状況説明員でもある第三者目線がなくなった事かな。
これは良い改変だったと思う。
原作の一つは冒頭にも書いたようにシンプルで状況説明するようなものが極力省かれている点。
そんな中でも唯一の拠り所がなくなった事で解釈の自由度はさらに上がった。
このシンプルさって脚本家だからこその魅力だとも思っている。演出次第で自由になるところ。
そういう意味ではこういう形での映画化ってまさに本望だったんじゃないかなと思っている。ここまでくると妄想だけれど。
と、ここまで書いてまだ肝心な所を書いていなかった。
日本人的な死生観(で正しいのか?)をどう落とし込むのかだったが、結果として彼も救われることになるとはね。
ここには一番やられました。
そして、同じ事も人によってその人や時代背景そのほかによってここまで受け取り方が違うんだなと再確認させられました。