つい先日、ついに創元SF文庫から出た「グリーン・レクイエム/緑幻想」
を読みました。
創元といえば私にとっては早川と並んで、たぶん読書歴の大半がこの2社
であろうし、何よりも特別なもの。
特に好きな作家であり、その著作(特に長編)をほとんど読んでいる、ア
ガサ・クリスティ、イアン・フレミング、レイモンド・チャンドラー、
そしてロジャー・ゼラズニィ。
(まぁゼラズニィの場合はこれにソノラマを加えなければならないが)
ほとんどの作品は早川/創元だからなぁ。
今の私は早川と創元に育てられたと言っても過言ではない。(言い過ぎ?)
そんな中、やはり好きな作家である新井素子は、「…絶句」で早川デビュー
はしたものの(それが出ると知った時、思わず本屋で大喜びしてしまいま
した(笑))、創元だけは…だったのですが、既発表作品とはいえようや
くデビューを果たしてくれました。もうそれだけで嬉しい。
で、この「グリーン・レクイエム」とその続編「緑幻想」が初めて一冊に
収まったというこの作品。
「グリーン・レクイエム」は奇想天外ハードカバー・講談社の文庫とハー
ドカバー・そしてやはり今年になって出た出版芸術社の作品集の中の一編
に続き計5冊目、「緑幻想」は講談社のハードカバーと文庫に続き計3冊
目の所有となります。(笑)
まぁ知る人ぞ知る話でそのすべての「あとがき」が違うのでそれだけで集
めている人が多いというのも事実。
(たしか「ひとめあなたに…」だったかな?は、版を重ねて表紙イラスト
が変わった際に「あとがき」も変わっていた…ような気もする。(笑))
さあて、本編にまだひと言も触れていないぞ。(笑)
というわけで本編の感想。
まずは「グリーン・レクイエム」
(前述のように過大なフィルターは入っているのですが)この作品は
何度読んでも同じ気持ちにさせてくれる。
まぁ厳密にいえば最初に読んでからラジオドラマの際に羽田健太郎がこの
作品のテーマ曲を作り、今関あきよしが鳥居かほり主演で映画を作ったの
で、そこからの追加はあったものの、羽田健太郎が鬼籍に入り、今関あき
よしが別のところに入ったくらい時の経った今でも、不思議と登場人物と
の年齢がどんどんかけ離れていった今でも登場人物たちに対する感情やイ
メージが変わらないんだよなぁ。
特に自分と年齢の近いところで出会った作品は、どうしても時を経つに
つれて「その作品を読んでいた頃の自分」を俯瞰で見ながらになってし
まうにも関わらず。(この作品に対してはそれが無い。)
単に(この作品に対しては)今でも成長していないだけなのかもしれない
が。(あ、そういえば「夏への扉」もそんな感じだわな。)
それに対してその続編である「緑幻想」。
こちらのほうは思い切り俯瞰になっている。
それはもしかしたら作者である新井素子自身が、この作品を書いた時点で
登場人物たちに対して俯瞰で眺めるような年齢になってから書いたせいが
あるのかもしない。
あとは、「グリーン…」のほうが登場人物たちが能動的に話を動かして
いるような作品であったのに対し、この「緑幻想」の登場人物たちは
「動かされている」からなのかもしれない。
それがもたらす結末(真相)は、トリッキーであるにも関わらず他にも
似たような印象の作品が存在するからかもしれない。(そういうものを
知ってから読んだ作品であるからかもしれない。)
どちらも、実は「ある情景」を書きたいが故に作り出されたであろう
作品にも関わらず、そのことに対してかたやいまだに純粋なまま接し、
かたやいろいろなものが付加されての接し方になるというのも面白い
ものだな。
どちらの「ある情景」も、私にとっては好きである事に変わりはないのに。
さあて、自分でも何を言いたいのか分からなくなってしまったので、
ここらへんで書き逃げさせていただきます。(笑)