2011/02/19

『フォロー・ミー』"THE PUBLIC EYE"(1972)@みゆき座

もしかしたらキャロル・リードはこの作品に自分の愛すべきものすべてを詰め込んだのでは無かろうか。
ロンドンを舞台にした愛すべき会話劇と映像と音楽。そして人々のすべての俗を。



三十数年前この映画に初めて出会ってからずっと、いつか映画館で観たいと思っていた作品なんだよな。
ようやく、それも封切り館の名を引き継ぐこの場所で観れた事はとても感慨深い。


ただ願っただけで何ひとつ役に立つことなど出来なかったのだけれどね。



さて、改めて会話劇…というよりは言葉遊びを楽しめる作品だなと再確認できました。
しかも、というよりはそれが故に会話の聞きやすいこと!
英会話の教材にできるよ。

今風の言葉遣いではないかもしれないが。


で、この作品の良いところは、その会話劇プラス室内の愛すべき小道具や食べ物、癖のある演劇的な
エキストラに至るまでの芝居を観た後に。


会話のない、音楽と映像による物語が始まるところなんだよね。


急に街は色づきはじめ、その何もかもが愛すべきものに!

自分のいる世界はほんのひとふりがあっただけでまったく違うものになっていくあの瞬間。
白のハンチングにレインコート、怪しい髭を生やした男が街を色づかせていく。


なんて幸せな!



そして愛おしいこの作品に出会えた感謝をここに書き添えます。