2011/10/30

「銀婚式物語」(2011) by 新井素子

沢口靖子主演でドラマ化もされた「結婚物語」「新婚物語」の続編。

あれから25年。
クシャミと共に起きた陽子さんは銀婚式を迎えたその日に正彦さんとの食事の約束をしていた。
いつもと変わらない日常の中のひとコマひとコマからその25年間を回想する陽子さんという形式で綴られたその後の出来事と銀婚式となるその日の出来事。



ああ、やはり続編キャラクターだとより昔と変わらないなあという感じを受けるなぁ。
ましてや他作品よりも事故投影度の高いこの作品。
如何に変わっていなかったかということを感じさせてくれた作品となっていました。


一方で、前作執筆当初から明らかに変わってしまっている執筆ペースと形態に関して、その間に何が起こっていたかというのもよくわかる作品となっていました。
元々が本人の一部が作品となっていた人であるからこれは当然といえば当然のことなのかな。
ましてや私個人にとっても初めての同年代の作家さんです。
同じように年を重ねて来たのでひとつひとつの話がとても良く分かります。
まあ一方で立場的にもご本人の性格的にも浮き世離れした部分もある人なので羨ましいと思う部分も多々あり。
中でも蔵書の為の家を建てる件はもううらやましい限りです。
本の物理的な重さと空間占有率というものを身に染みて感じてる身としては蔵書の為に造る家と蔵書のための家を造ることの違いはもう何というか羨ましい。

そして、当然ながら描かれるペットロスや身内の死、老いていく自らについてなど何度通勤途中で読むんじゃなかったと思ったことか。


さて、シリーズ次作は金婚式物語と言うことで気長に待つとするかな。