「ヴァンパイア」(2012)岩井俊二を読了。
岩井俊二の小説としては「ウォーレスの人魚」とか好きだったのだけれど、本作のタイトルから同じような匂いを感じたので久々に読んでみたくなったのが、読むに至った経緯。
最近日本で公開された映画との関係とか予備知識は一切入手しなかった。
さて、実際に読んでみると「おお、さらにこじらせてるな。」という感じの前半から同族嫌悪を経てふいに光を見いだしてという構成自体は好きなのだが、彼がふと彼女を殺したくないという思いに至った部分が弱かったかな。
これが映像であれば何かしらもう少し共感できるヒントがあったのかも知れないが。
まああと、これはしょうがないのかもしれないが、彼女たちとの置かれた状況のバリエーションが、実際に調べてみたら引っかかってくるような類型的なものばかりに見えてしまったのが残念だった。
これは言ってみれば手垢の付いた分野であるのでしょうがないといえばしょうがないのだけれど。
ラスト、クライマックスな部分はさすがに映像が頭の中に入ってきたな。
そのための仕掛けだったのねというところがいかにも岩井俊二らしい好きな一面である。
さて、そのうち気が向いたら映画のほう見てみるかな。
その関係性は今も調べてはいない。