2019/01/03

「雨音は、過去からの手紙」(2016)富良野馨

「雨音は、過去からの手紙」(2016)富良野馨 正直に言ってとても好みな作品でした。 最初は漠然とでしたが、ある所まで読んだところで個人的には新井素子の 「あなたにここにいて欲しい」を思い出しながら読んでいました。 テーマ的に近いところがあると感じたのもあったかな。 私の読書傾向がとても偏っているというのもあります。 冒頭からかなり明確にその状況がイメージできる描写だなと思いました。 その現場を微に入り細に入り伝えようとしているような。 そのまま映像化できると思われるくらいに明確にイメージできました。 前述の「あなたにここにいて欲しい」と共通点を見出していたのは女性の一人称と いう部分と手紙という形で主人公以外の一人称視点でも話が進むところもありますが 作中の女性二人の関係に近いところを感じたからかな。 さらには最終的にすべてを解決する手段が時であったということも近く感じた 一因かもしれません。。 そんな感じで読み進めていくと突如出てくるあれが今までの話すべてを 覆い尽くしました。 これは予想外でした。 しかもこれがまたとても生々しい。 前述の冒頭付近で感じたような細かさというよりは、リアルに存在していても おかしくないタイプ。 それだけに、彼女たちにとってどこまで幸せな結末が求められるかが不安でした。 ですので用意された結末がとても幸せなものだったのがとても良かった。 そしてその幸せを導いた主人公にも素敵なプレゼントが用意されていたこともまた。 そんな感じで最初は厚さに少々ビビっていたのですが一息に読んでしまいました。 いろいろなものが詰まっているように感じましたが、それをここまで手際よく できていることも好きなところです。