2025/11/30

「警官嫌い」"Cop Hater" (1956) Ed McBain

読むの久しぶりだなあ。
改めてとなるが井上一夫訳という事でやはりテイストがフレミングの007シリーズに近いものに感じる。田中小実昌ほど癖は無いけれどこの頃の訳者は何人か個性の強い人が多い。
さて本編。
シリーズ一作目である本作が一番面白いというか色々詰まっている。
描きたい事いっぱいあってそれを詰め込んだんだろうなという映画監督の処女作みたいなものを、既に「暴力教室」等を書いていていた彼がわざわざマクベイン名義にして出したかったのも頷けるというか。
このジャンルに求めている事はすべて入っている。その中でも好きなのは全体の構成。「クレア…」の感想でも近い事を書いたかもしれないが、このバサっとした終わり方が好きだ。その後も少しはあるのだけれどそこらへんの加減も含めて。
もはや映像的なものも想像が容易くなっているのは、もはや本作に端をなす諸々の映像作品を見たからなのか。