2012/11/24

「遠まわりする雛」(2007)米澤穂信

「遠まわりする雛」(2007)を読了。

米澤穂信の「古典部」シリーズ4冊目にして初の短編集。
書き下ろしの一編を含む計七編の短編が収められている。


推理小説、ミステリーといえば話に関わる襞まで楽しめる長編の方が好みではあるがアイデアが光る様を楽しむ短編というものもこれが特にシリーズものとなるとその成りが故に結構面白いものがある。
作家の向き不向きなんてことも含めると長い話になるのでここでな止めておくが何作かの長編を経て血肉を得た古典部の面々を巡る短編は十分に面白かった。

そして、その中でもこの短編集のタイトルにもなっている「遠回りする雛」。
小説でこそ楽しめる部分の多いこの古典部シリーズをわざわざテレビアニメ化する理由があったとしたら、まさにこの話を観たかったんじゃないか。それに尽きてしまうかもしれない。

まさにこれらの物語の果て、いや実際にはまだあと2年分残っているようだが、そこにこれがあるのであれば観てみたいよ。

奉太郎がオチる瞬間。だものな。

この短編集を締めるこの書き下ろし作品は私に取って出色の作品であった。


もちろんそこに至るまでの4人がいろいろ重い至ることになる様々な出来事も良いが、これは特別だな。