2019/06/16

「ヒッキーヒッキーシェイク」(2016)津原泰水

玄関を開けたらいきなりお茶の間に飛び込んでしまったかのような冒頭から思わず引き込まれた。
何故彼が最初だったのかとか話の流れの中でのミスディレクションに溢れていていくつかの予兆とも誤解とも言えないものが漂っている。
それが登場人物達と同様にこちらまで混乱、いや混沌を味合わされることになる。それが心地良い。
何故ならばこの物語は登場人物達に常に寄り添って行く形で進んでいくから。
ヒントは常に与えられてそれらを繋ぎ合わせて一つの形にしていく事が楽しい。
ただし肝心な事具体的な事は想像に委ねられる。答えはすべては提示しない。
そこを想像する楽しみ。
これらってすべて本を読み進んでいく楽しみだよな。なんて事も考えながら読み進んでいく。
この作品を手に取ることになった経緯まで含めてこの作品世界の中の出来事のようだ。
それは決して幸福な始まり方ではなかった事まで含めてと言うのがまたこの作品らしいというか。
しかし私はこうやって出会う事ができた。それは喜ばしい事だと思う。
さて、最後に出会ってしまった君達はこの最後に与えられた問題を如何にしてクリアする事になるのだろうか。楽しみだ。