(2024/10/26 マチネ 目白シアター風姿花伝)
「OTHERO」の芝居評で久々にニシサトシの名を耳にし、機会があれば何かしら観に行きたいとは思っていたのだけれど、思いの外早くその機会が訪れ、演目も個人的に好みの題材っぽいのでという事での鑑賞。
知識としては星の一生と人の一生を重ね合わせた話という事と元々60分超えるくらいの上演時間という程度。
あとはSNSでの今回の評をいくつか。
それが、劇場に着いた所で上演時間110分と聞き、何を仕掛けてくるのかと思ったら。
まずは聴こえるか聴こえないかぐらいの時報がどちらかといえば暗くて静かな場内を支配し、割とヌルッとした感じに始まる。
暗闇の中、四方から聴こえる台詞。
そこから始まる反復と言葉遊びを通じてスライドし進んでいく。
ある程度この反復が続きそうだなと思い始めた所で流れていたラベルのボレロには思わずツッコミを入れたくなった。
他にも抑え気味のBGMは時折状況を強化する。
観察者の存在は百光年ハネムーンを思い出させた。内容はまったく違うが。
最初にほぼ闇の中で営まれたくだりが繰り返されるたびに徐々に意味を形を成していく。
自転し公転し劇場内すべてが舞台と化す。
星はいつか衰え、目にするのは太古の光。それでもという所で観察者は行動を起こす。
代償として観察者から見た被観察者の時間は加速する。
元々好きなジャンルの上に作風が見事にマッチしていてとても面白かった。
終わると、結構泣いている人もいたな。
かく言う私も、まだ余韻に浸っている。