2017/01/11

「いまさら翼といわれても」 (2016)米澤 穂信

「氷菓」こと「古典部」シリーズの6冊めであり6編収録の短編集。
中には主役である奉太郎が出ない話もある中で。
そのどれもが苦い結果を伴うものばかりであったがやはり一番重かったのは表題作である「いまさら翼と言われても」だったかな。
これは今までがあるからこそ余計に重い物語だ。
この作品を古典部シリーズの最終作にしても良いくらいに。
そしてこれは、逆に奉太郎とえるの相田にもう未来は存在しないという話にも思える。
奉太郎じゃなければあり得るかもしれないが、彼にはその未来は選べない気がする。
もしくは長い休日が明けていたらその可能性はあるのか。
彼がそこにいる事自体が明けかけているということであろうが。
そこに至る一連の作品は置いた話とすれば、折木らしくない照れがかいまみえるあれか。
そこで種明かしをしないところがまたらしいと言えばらしいのだが。